チリ代表アレクシス・サンチェスのマンチェスター・ユナイテッド移籍が事実上成立することになった。
アーセナルはまだマンチェスター・ユナイテッドに選手を強奪されることになってしまったが、代わりにムヒタリアンがやって来るのでトレード移籍のような形になっている。
アレクシス・サンチェスがバルセロナにいた時代がもうあんなにも前なのかと思うと懐かしさもこみ上げてくるが、結局彼はアーセナルでの主要タイトルには恵まれなかった。
メスト・エジルと共に獅子奮迅の活躍をしたが、その冒険もここで終わりとなりこれからはオールドトラッフォードでのキャリアを始めることになる。
バイエルン・ミュンヘンに5点を取られて圧倒された試合では「自分のクラブが負けているのにニタついている」と批判に晒され、既に昨シーズンからクラブへの愛着は無くなっているように見えた。
そしてここにきて遂に終わりを告げることになる。
アーセナルが元バルセロナと元レアル・マドリードの選手を獲得したときは、「これでもしかしたら優勝するのではないか」と思われたが結局まずはサンチェスから去ることになった。もうじきエジルも次の所属先を見つけることになるだろう。
そしてアレクシスの次なるミッションは名門の7番という背番号を復活させることだろう。背番号はかつてジョージ・ベスト、カントナ、ベッカム、クリスティアーノ・ロナウドらがつけてきた輝かしい7番になっている。
しかしこの「ユナイテッド栄光の7番」もある時から歯車が狂い始める。
アントニオ・バレンシアがつけ始めたころから雲行きが怪しくなり、ディ・マリアでさすがに復活するのではないかと思いきやそうはならず、今ではすっかり権威を失っている。
当時のディ・マリアはUEFAチャンピオンズリーグを制覇し欧州ベスト11にも選ばれた選手だったにもかかわらず結局マンチェスター・ユナイテッドのサッカーにはフィットすることができなかった。
今回プレミアリーグで既に実績があるアレクシス・サンチェスがその背番号をまとう事でようやくこの停滞も打破できるのではないかと多くの人が期待している。
一番の前向きは理由はやはりイングランドでの実績がある事であり、サンチェスのモチベーションさえ復活すればユナイテッドで圧巻の活躍をする可能性は高い。
個人で打開できるタイプであるどころか、個人プレーを好む選手でもあるのでむしろユナイテッドのスタイルと相性が良い。
逆にアーセナルとしてもマンチェスターで燻っていたムヒタリアンがブレイクする可能性があり、このトレードは双方にとってまさにベストな取引だと言えそうだ。
今のユナイテッドの選手たちもなかなかビジュアルが強烈でモウリーニョに率いられた「荒れくれ者軍団」というような雰囲気を呈している。むしろアーセン・ベンゲルに率いられるアーセナルの雰囲気よりは、思う存分自分の個性でチームに溶け込めそうなユナイテッドのほうが居心地が良いのではないか。
感覚の問題なのかもしれないがユナイテッドのメンツのほうがサンチェスの南米人気質の気に合いそうではある。
少なくともキャラクターの問題に置いてはマンUで居心地の悪さを感じることはなさそうだ。
プレミアリーグでの実績が既に存在すること、プレースタイルも合いそうなこと、そして何よりチームに1人の個人として溶け込めそうなこと、アーセナルから解き放たれたことで本人のモチベーションが高まっている事、それらを考えると上手く行かない理由の方が無いように思える。
むしろこれで上手く行かなかったらマンUの7番どうなっているんだ、というぐらいに今回は好条件がそろっている。
ここ数年停滞し続けているエースナンバーの系譜もようやく本来の輝きを取り戻せるだろうか、後半戦のプレミアリーグの見どころはこのチリ人選手の活躍にかかっている。