4話見ました、感想書くまでもなくもう一度すぐに見返したいレベルでございます。
今自分はリアルタイムで目撃している、確実に中島健人の代表作になるドラマを。あらゆる出演作を過去にするレベルでこれはちょっと次元が違う。もちろんケンティーの過去作、全てどれもがいいというリスペクトはある。ただ、反響の大きさ、演技の質、後に中島健人という男がどういった代表作があるかと問われたとき、カノキレは"メルクマール-指標-"となるだろう。
まず4話でこの密度か、というほど濃い。自分は以前「一話完結型が多い最近の邦ドラと違い、このドラマは1話から見た方がいい」と書いたがやはりこの先が気になる展開が、古き良きスタイルとして再評価されているように思う。
誰もがその時だけ見てもいいドラマは目先の視聴率は良くても、安定しかなく語られもしない。
一話完結型は見るには見るけど、その時見て満足してしまって、見逃しても今度でいいかという安堵感がある。
「途中からその話だけ見てもいい」というのは制作者にとっても視聴者にとってもある意味甘えなのだ。ちゃんとドラマを見ようと思う気がなくても見れてしまう、その環境に甘えている日本の視聴者層がいて自分もその一人だった。
『彼女はキレイだった』がそんな高度な難易度の高い凄いドラマというわけではない。ただ、連続してみて面白さがあるという本来のドラマの魅力に忠実で、これぞドラマの良さだというのを体現しているところが素晴らしい。
本来ドラマって毎週こうやってワクワクして見るものだよなっていう再発見だ。
一話完結型に行き過ぎていた日本ドラマや視聴スタイルに一石を投じる黒船といっても過言ではないだろう。
一見すると最初から見ないとわからないスタイルって視聴率的にはギャンブルなのだが、本気で作り込んでいるとこれが上手くいく。ちょうどこの作品も雑誌の販売部数を扱っている内容なのでそういうリアリティもある。
ドラマの最大の役目はその時が面白いことはもちろん「来週が楽しみ」というリアタイ感を提供できるかどうかだ。この特別な3ヶ月が視聴者を満たせるかどうかがワンクールドラマの勝負所だ。期間としてはとても短い、世界的にも日本ほどこんな短期間でドラマを消費していない。海外の場合シビアで打ち切りも多いが、基本は一年通してやる。
来週楽しみ度合いで言えば、彼女はキレイだったは満点上げたい笑
いいおじさんが、めっちゃ楽しんでるから。
恋愛ドラマって素敵だなってときめいている自分がいる。宗介と愛の距離感がどうなるの、とドキドキワクワク。
自分、宗介が4話で脱輪した話を笑えないのよね笑
それどころか深夜の山でやらかして携帯が充電切れという絶体絶命を味わった。
しかも免許習得初日に調子乗って、リアルに走馬灯よぎるぐらいここで落ちると思ったぐらいだ。
かろうじて奇跡的に偶然通りかかった自分より数歳上ぐらいの男性がガチでいい人で協力してくれて電話番号までメモしたのだが、紛失してしまい未だに恩返しできていないという話。
そういった自分の話もあり、脱輪してロードサービスまでも愛との時間があってそれが雑誌のヒントになる展開は最高だった。
宗介笑えねぇと思いつつ、こういう時ってドラマみたいなエピソードあるよなっていう、なんか懐かしさ。
もう7年以上前のことだけど、宗介みたいに田んぼでもないし、「あっ、もう俺これ谷に落ちるな」と思ったレベルだ。しかも山と言っても夜に小動物が走るレベルなのよ。そこから生還しためぐり合わせに感謝している。
脱輪ってそれぞれドラマがあるよね、という話。
自転車のチェーンの故障とともにドラマの鉄板だ笑
脱輪もベタなのだが、ベタで終わらせないのが魅力。ベタでもその後にいろんな展開や深み、演出があればそれは必要なベタだ。
説明しきらず感情描写を想像させる時間の余韻もある。本来の王道的な物語の作り方をしているというか、本来必要なのにこれまでオミットしてきた部分をちゃんと忠実にやっている。ドラマってもっと余韻や考える時間が必要だったわけで、台詞にしきっていないところが考えさせられていい。
個人的には脱輪以降のシーンは本当に好きだ。映像も美しいし、趣味でも仕事でも話があっていくところがキュンとせずにはいられない。宗介が不器用だったり、いつの間にか佐藤と呼んでいて、愛が総務部と呼ばれてたことを責めるとタブレット男よりはマシだろというここめっちゃよかった。
なんかもうこの二人だけで良くない?とおもいつつ、樋口とリサが複雑に絡んでくるという四角関係で、いい意味でパニック状態。
ずっと宗介と愛だけのパート見ていたいのに、と思うけどリサと愛は親友だし、樋口は同僚だしとこれぞドラマよ。
驚くべきことに4話でこの密度、あと2話ぐらいでもう最終回だろぐらいの濃密さというのに。このあとまだ原作に色々ある描写があるのだから楽しみだ。これ本当にワンクールで収まるの?と思いつつ本当の最終回来てほしくなく、永遠にカノカレを来週待っているこの時間にいたい。終わったときの喪失感を今から覚悟するレベルだけど、この二人を応援したくなる思いはもっと大きい。本当にこの夏がカノカレとともにある、と振り返り時が来る。異色かつ王道な作りだからこそ恋愛ドラマの良さを再発見させてくれる、そう思う。