他国の試合でここまで感動したのは久しぶりかもしれない、それぐらいベルギー代表VSブラジル代表の試合が神がかっていた。
まだワールドカップの熱狂は終わらない、日本代表が戦いを終えてもまだフェスティバルは続く。
むしろ自分の場合対戦相手のベルギーを一気に好きになって、実質この試合ベルギー代表に憑依して感情移入しながら見ていた。
今回のベルギー代表は勝ち方が派手で面白く、プレー内容も面白い。更にチーム一つとしてまとまっていて、それぞれキャラがたっている上に熱い。
特に今回はクルトワやコンパニ、アルデルヴァイレルト、ムニエなどデイフェンス陣の活躍が本当に素晴らしかった。更にデ・ブルイネ、アザールなどの攻撃力はもはやゲームの領域に達している。
そしてロメウ・ルカクの成長は本当に脅威的で、高速で走る重戦車のような突進力があった。
もちろんブラジルの攻撃も強力だったが、後半個人技頼みになるシーンも見受けられた。
実際2-1でベルギーがリードしきれるかどうかは最後まで冷や冷やするものがあり、ベルギーが今度は日本代表と同じパターンに陥る可能性さえあった。
ただこの試合で日本代表はむしろ評価を上げた。
このベルギー代表を追いつめ、今大会ベストマッチの一つに挙げられている。この試合でプレミアリーグと日本代表は間接的に価値を上げたと言えるかもしれない。
今後ベルギー代表がさらに勝ち進むほどに、自動的に日本代表も評価を上げていくことになると考えればベルギーと対戦できたことは本当に幸運だった。
「あの時のベルギーは完全ではなかった」と日本人は謙遜するが、世界は間違いなくあの試合を覚えているだろうし、ベルギー代表のドキュメンタリー映像が作られれば間違いなく使われるという美味しいポジションにいる。
日本代表の映像、FIFAの公式映像に今後ずっと使われる!やったぜ。
そして今回は映像判定の大会になっている。
もしかしたら映像判定が無ければこの試合ブラジル代表が勝ちあがっていたのではないだろうか。そもそも今回南米勢が早期に敗退していることを考えると、今後南米の代表チームは戦い方を変えていかなければならないだろう。
「フェアプレー」という意味では、今後この部分を重視するチームが強くなっていくだろうし、実際ベルギーは普段プレミアリーグで鍛え上げた真正面からの能力でこの試合を制した。
今大会最も強力なディフェンス力と攻撃力、そしてクリーンな戦い方をベルギーは兼ね備えているので是非ともここから勝ち上がってほしい。世間は日本代表が敗退した後、豪雨とオウムの問題で再び陰鬱な日常に戻ろうとしているが、W杯の熱狂はまだ続く。お祭りが終わって悲しいと思うのは非常にもったいないし、ベルギーは本当に見ていておすすめなチームだ。
今回のオウム真理教の話題で、「ベスト16に進出した国で死刑制度を維持しているのは日本だけ」と言われているが、別の角度から見ればベルギーは安楽死制度を導入している先進国でもある。
ただ単にサッカーが強くて、チョコレートとワッフルが有名で、歴史的名女優オードリー・ヘップバーンを輩出した国というわけではない。もしワールドカップに絡めて死刑制度を議論したいのであれば、ベルギーが安楽死制度を導入しているという事も語る必要があるように思う。
サッカーを通じて他国の事情を知るという事もW杯の楽しみの一つだ。
ここ最近の日本人は異文化への共感力を失い、海外に対する関心を失っている。
日本人が関係していなければ他人事だというような風潮の中、この試合を見ていた人は世界の奥深さを体験したのではないか。
正直な話、自分はむしろこの試合に日本代表が進出しなくてよかったとむしろ安堵した。最初はここに日本代表がいてブラジル代表と対戦するはずだったともの悲しさもあったが、「もしかしたら勝っていた」という想定もできる今がちょうどいい。
それぐらいレベルが高い試合で、これは「逆ミネイロン」をされて1-7にされる可能性さえあった。ベルギーの守備陣だからこそ1失点で抑えられたが、並のチームなら複数失点は確実だと言えるほどブラジルの攻撃力も凄まじかったのは事実だ。
今後の4年間は日本代表がこのレベルに到達するにはどうすればいいかということが問われる。そのためにも世界のレベルをまざまざと感じられる試合は貴重で見る価値がある。
そしてネイマールはワールドカップでは「かませ」になる運命なのだろうか。
日本代表としては何度もシミュレーション行為をされ、高い技術を見せつけられてきた。ある意味ベルギー代表が今回ネイマールに引導を渡してくれたことは、日本のサッカーファンとして胸が救われる思いがあった。もちろん日本代表が直接ネイマールを止められるレベルになることを願いたいが、まずはベルギーがそのやり方を示してくれた。
今頃ネイマールをはじめ、ブラジル代表は「ベルギー半端ないって」とロッカールームで叫んでいるに違いない。