よく猫の飼い方マニュアルとして「猫は何でも食べてしまうので誤飲に要注意」という文言がある
正直に語り明かそう
自分はこの警告を舐めていた
基本、猫は人間で言うところの2~3歳ぐらいの知能水準だと言われている。稀に人間も驚くような賢明な猫もいるし、年を重ねれば精神的に落ち着き成熟することもある。
ただ、基本は人間の赤ちゃんのようなものだ。
自分の飼い猫も1歳程度、人間で言えば5歳児の男の子だ。人間だって自分達の幼少期を思い返してもとにかく危なかしかっただろうし、誰しもそうだろう。
この度、自分の猫が何を飲み込んだかというとなんと「耳栓」だ!
その日は、夜中にちょっと近場のコンビニに買い出しとついでに散歩でもしようと予定より長くなってしまった。欲しいものが売っていなかったという事情もある。
そういうことで予定より少し長くなり気ままに帰ってきた。
しかし、、、帰ってきたらあるものが無い!
おい、どこだと探していたものが耳栓だった。
以前、一度自分が取り外した耳栓を猫が興味ありげに近づき舐めようとしていた姿は見ていた。このときの自分は「何でそんなものを、美味しくないぞ笑」ぐらいに軽く考えていたわけだ。
その主犯が彼だ。
正直、その時に気づいておくべきだった。猫を守ってあげられるのは飼い主しかいない。リスクマネジメントだって責任だ。重々そんなことはわかっているはずだった。
ただ、何度探しても耳栓は見つからない。百均で売っているようなオレンジ色の明るい色なので絶対に見つかるはず。遊んでいただけで飲み込んでいないのであれば、とせめて祈っていた。
何度も探したけれどやっぱりどこにもない、自分の勘違いか、ただわかりにくい場所に持っていったのか。でも、耳栓は2つ、都合よくきれいに持ちされるだろうか。
当然「猫の誤飲」についても調べ、そこには恐ろしい説明が並んでいた。
「基本猫は口に入るサイズなら何でも食べます。特に若い猫は好奇心旺盛なのでその傾向が強いです。危険なのは紐で、おもちゃをかじって飲み込み飼い主が気づかないことがあります。胃に溜まっている内は吐き出させる手段がありますが、数時間で腸に到達すると手術の必要がありおおよそ十数万円かかる場合もあります。」
この時点で自分は青ざめていた。
実際の身内から聞いた話でおもちゃの破片を食べたことで食欲不振になって痩せてから異変に気づき、高い手術代がかかったという話を聞いたばかりだった。
しかしどうしてもその日は動物病院に連れて行けられなくて、一日様子を見ることに決めた。不安でいっぱいだった。そして翌日、今日何もなかったら連れて行くという覚悟で朝を迎えていた。
この時、自分は昨晩使っていた予備の耳栓を目の届く範囲に置いていた。
「もしこれに反応したら、やっぱり食ったな」と。それが最終判断と決めていた。しばらくしていると案の定興味を示し、確信した「やっぱ食ったんだなぁ、終わりだ」と。
そうして憂鬱にしていると少しして突然、猫がえづき出した。
この場合、何かを吐くサインだ。
もうこのときの自分の心理「耳栓吐いてくれ、お願いだ!」
おそらくソシャゲのガチャのいいカードを祈る課金者より念じていただろう。事実上十数万円、そして猫の命さえかかっている。まさに極限の状況、出ろ、出るんだ!と不謹慎ながらカイジのような状態
ついに猫が吐き出した
苦しみながら二日酔いがあまりにもキツイときの自分のように、、、
出てきたのは使い慣れていた見覚えのあるオレンジ色の耳栓だった!
この時の安堵感は例えようがない、とにかく嬉しく、そしてやっと落ち着いた。そしてごめん、自分の不注意だったんだと謝った。
ある程度猫が吐きそうなときは優しい声をかけながら出させることに集中させるべきである。猫にとって吐くという行為はそれだけ重要だ。人間よりも吐くという行為が日常の一部だと改めて学んだ。
ただもちろん「吐く力」を過信すべきではない。
飲み込みそうなものは総じてリスクだ。
まさかただの紐がここまで危険だとは知らなかったし、耳栓なんて食べると思っていなかった。
それ以来、自分は耳栓を大き箱に入れて外出するようにし、小さな物に気をつけるようになっている。
ネコに味覚はなく香りと触覚だけで判断しているということはわかっていたが、「それくらい気づくだろう」と人間で言えば5歳児の子供に甘い見通しをしていた。猫を飼うことは今回が初めてではなかったにも関わらず。
それが本当にあった怖い夏の話だ。本当に本当なので、どうか猫を飼っている方や飼ってみたいと思っている方、要注意中の要注意だ。